かがくいひろしさんのこと
2009.12.01
先々月のこの欄に、9月に亡くなられた演出家の竹内敏晴さんのことを書いたのですが、この9月以降、他にもいろいろ著名な方々が亡くなっています。なかでも一番ショックだったのが、絵本作家のかがくいひろしさんの訃報です。9月28日、享年54歳でした。訃報が新聞に載ったその日からつい最近まで、おおきな木ではささやかながら「追悼・かがくいひろしさんフェア」をやっていたのですが、お客様からも惜しむ声がほんとうに多く聞かれました。
かがくいさんといえば、ベストセラーになっている『だるまさん』シリーズ(ブロンズ新社)3部作が一番おなじみかと思うのですが、僕が最初に出会ったのは、デビュー作『おもちのきもち』(講談社)。何かうきうきした気分にさせてくれる絵本で、またまたすごい新人が現れたなあとただただ感心。当店スタッフもみんな気に入り、この通信のおすすめ絵本を担当しているちえこさんも新刊が出るたびに紹介をしてきました。
名前からしてちょっと謎めいたイメージを抱いていましたが、調べてみたら、かがくいひろしさんは50歳でこの『おもちのきもち』でデビューし、それから4年の間になんと14冊の絵本を出版してるんですね。絵本作家になる前は学校の先生で、人形劇をずっとされていたとのこと。「ああ、なるほど」と思いましたね。
かがくいさんの絵本のキャラクターは、おもちだったり、やかんだったり、野菜だったりとフツーではありません。そして表情がめっちゃストレートで、動きもすごい。台詞のやりとりがこれまた楽しくて、命を吹き込まれたおよそフツーでないキャラたちが生き生きと躍動しているのです。絵が個性的でうまいというのは当然のことですが、こういうストーリーを思いつくというのは、人形劇で子どもたちとの「駆け引き」を長年楽しまれて来た方だからこそという感じがするのです。
僕なんかは、こういう絵本に出会うと、早く子どもたちに読んでやりたーい、早く子どもたちの喜ぶ顔が見たーいという気になってしまうんですね。先日もあるイベントでおおきな木の出店を出して、そこに来る子どもたちに読み聞かせをしていたのですが、そのメインもかがくいさんでした。新刊の『がまんのケーキ』(教育画劇)や『みみかきめいじん』(講談社)を読んでいると、子どもだけでなくお母さんたちからも笑いがこぼれて、膝の上でお母さんに耳を触られて『みみかきめいじん』を聴いていた小3ぐらいの男の子は、ほんとうにとろけそうになっていました。
『だるまさん』シリーズも何度も読まされました。この3冊は、僕はちょっとした節をつけて読んでるんですが、子どもたちはみんなだるまになりきって、「どてー」と倒れたり、「ぷしゅー」と床に這いつくばったりして遊びます。赤ちゃんたちの反応もすごくいい絵本ですが、この日の主体は小学生。足を思い切り開いて床に張り付き、体の柔らかさを見せつける子もいました。こんなふうに体を使っていっしょに遊べる絵本というのも楽しいですね。おそらくこれもかがくいさんの得意技なんじゃないでしょうか。『おしくらまんじゅう』(ブロンズ新社)もよく遊んでくれますよ。
今、おおきな木では、かがくいさんの絵本が売れない日はありません。14冊の著書はどれもハズレなし。みなおすすめです。残念ながら作者は絶頂期に亡くなられてしまいましたが、これらの絵本はずっと読み継がれていくことになると思います。
おおきな木 杉山三四郎











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