三ちゃんが「野外塾」を始めたわけ
「三ちゃんはどうして野外塾を始めたの?」。五箇山(富山県南砺市の相倉合掌集落)へ向かうバスの中の余興で「三ちゃんへの質問コーナー」があり、2年生の女の子が聞きました。
僕は岐阜市に生まれ岐阜市に育ったんで、子どものころは金華山や長良川でいろんなことをして遊んで、とっても楽しい思いをしました。だから、みんなにもその楽しさを教えてあげたいと思って始めたんだよ、と。実際、デイキャンプや昆虫採集などをしている場所は僕が子どものころに遊んだ場所でもあり、町の中心部からさほど遠くないところに今でもあります。
時には遠くまで足を延ばすことがあり、先日のプログラムは野外塾恒例の「雪国体験 IN 五箇山」。合掌造りの民宿に泊まり、 2日間、そりで山の斜面をすべったり、かまくらを作ったり、雪合戦をしたりと、2メートル近く積もった雪の中でめいっぱい遊んできました。
その夜、いろりを囲んだ父母の会の席上でも、お父さんから「なぜ野外塾を始めたか」の質問がありました。話せば長くなってしまうのですが、ひと言で言ってしまえば、僕が理想とする自由なキャンプがしたかったということですね。おおきな木を始める前17年間勤めていた言語教育関係の会社では、もっともっと規模の大きいキャンプをしていました。一度に千人近く会するキャンプなどでは、盛りだくさんのプログラムをいかに効率よく組むかで会議を重ねます。安全管理、リーダーの養成なども大変で、立派なマニュアルも用意されています。これだけの規模になるとみんなが組織的に動かないといけないというのは分かるのですが、果たしてこれで自然と親しむキャンプができるんだろうかという疑問がつねに僕の中にはありました。
おそらく学校単位で行われる自然体験学習などもそうでしょう。オリエンテーリング、野外炊事、工作などの体験プログラムが時間割になっていて、なかには大縄跳びとか合唱の練習なんかもやるところがあります。みんながひとつにまとまってやることが大切ですから、規則もいっぱいあります。これでは子どもたち一人ひとりの好奇心を満足させられるような時間はほとんど作ることができないんですね。
野外塾には時間割はほとんどありません。キャンプでは、おなかがすいたら食べる、眠くなったら寝る、これが基本です。自然相手だとそのときの天気や自然状況によって、すぐに火がつくときもあれば時間がかかるときもあります。昆虫採集でも山菜採りでも、そこに行けば必ず目的のものに出会えるとは限りません。そして、子どもたちの興味は一人ひとりみんな違うわけです。
子どもが育つ環境でいちばん大切なのは、「時間」「空間」「仲間」の3つの「間」。子どもたちの好奇心を刺激してくれる安全で楽しい場所、そこに子どもたちを群れで解き放つ。いわば野外塾は「放し飼い」です。そして子どもだけでなく、子どもの心を持った大人もいっしょに楽しんでいます。ある意味、僕のわがままで進めてきた野外塾ですが、そんな僕にエネルギーを与えてくれた子どもたちや、いろんな局面で支えていただいた親御さんたちにはほんと感謝しております。
おおきな木 杉山三四郎











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