絵本をからだを使って遊んでみませんか

 

 ここ十年あまり、僕は絵本にメロディーをつけてギターで弾き語りをしています。名付けて「絵本ライブ」。県民文化ホール未来会館で行われた絵本フェスティバルというイベントに出演したとき、主催者の方が「絵本ライブというのはどうですか?」と名付けてくれました。

それ以来、ずっとその「看板」を掲げて、各地の幼稚園、保育園、小学校、図書館などで公演を続けています。
 絵本を読むだけでなく歌うとはどういうことか?と思われる方もあると思いますが、音楽が付くと、小さな子たちでもすごくノリノリで聴いてくれるんです ね。保育園などでも未満児どころか1歳前後の子でも、手をたたいたり、飛び跳ねたりして喜んでくれます。
 じゃあ、小さな子たちにはメロディーを付けてやった方がいいのかというと、そういうことではありません。が、ちゃんとしたメロディーでなくても、ちょっ とした節を付けたくなってしまう絵本はあります。先日、ある児童館で、『おしくらまんじゅう』(かがくいひろし作・絵/ブロンズ新社)をお買い上げの方か ら、「この絵本は普通に読めばいいんですか?」というご質問がありました。そうですね、ま、歌わなくてもいいですけど、「おしくらまんじゅう、おされ て‥‥」と来てますから、誰でも節を付けて読みたくなると思います。そう、誰でも知っているわらべうた「おしくらまんじゅう おされてなくな」の節です ね。
 同じくかがくいさんのベストセラー『だるまさんが』(ブロンズ新社)。フツーに(?)読んでもおもしろいですが、子どもを膝にのせて、わらべうたのよう に「だるまさん、だるまさん‥‥」とからだを揺らせて遊んでみてはいかがでしょう。子守歌や遊び歌(遊ばせ歌)などのわらべうたは、こうして子どもとふれ あって遊ぶときに自然に生まれてきた節(歌)なんですね。
 また、言葉はからだの中から生まれ、声となって相手のからだに届き、それを動かす力を持っています。それを実感したのは、『もこ もこもこ』(谷川俊太郎文、 /文研出版)を幼稚園で読んだときでした。まだ僕が絵本ライブをしていないころです。「もこ もこもこ‥‥、にょき‥‥、もぐもぐ‥‥」と擬態語ばかりが続く絵本で、子どもたちの目はこの抽象的な絵に釘付け。そしてよく見ると彼らのからだもいっ しょに動いているんですね。「もぐもぐ」ではかなりの子たちの口がもぐもぐと動いていました。
 それ以来僕はこの絵本を読むときには、いつも「もこもこごっこ」で子どもたちといっしょに遊んでいますが、こんなふうに、擬態語や擬音語はからだの動き と密接に結びついていますから、こうした絵本はからだを使って遊ぶのにぴったりです。『ぴょーん』(まつおかたつひで作・絵/ポプラ社)は、カエルやウサ ギなどの動物たちが「ぴょーん」と飛び跳ねる繰り返し絵本ですが、これも読んでいると、かならずと言っていいほどいっしょに飛び跳ねてくれる子が出てきま すね。
 さて、おおきな木絵本講座の春のコースがもうすぐ開講になります。生き生きとした言葉で絵本の読み語りをすることをめざす講座で、擬態語の絵本では、か らだを使って遊ぶことも大人の方に体験してもらっています。また、物語の絵本では、台詞の言葉やナレーションの言葉をどのようなイメージで語れば相手の心 とからだに響くようになるかを実践で学んでいただいています。あなたも一度体験してみませんか。
おおきな木 杉山三四郎

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