絵本が電子書籍になったらどうなるか?
iPadという、パソコンというか携帯というか、何というか、ま、要するにパソコンと携帯の中間的な機器が5月についに日本でも発売されます。ノートパソコンよりも小さいので携帯に便利。そして携帯電話より大きいので、画面が見やすく、キーボード操作もしやすいということで、これは便利。値段もノートパソコンの半分ぐらいだし、これは「買い」かな。
ところが新聞やテレビでも報道されていたように、アップル社がこのiPadを開発する最大の目的は電子書籍の販売のようです。今や音楽がCDからiTunes Storeでダウンロードというふうに変わってきたように、これからは本も iBook Store でダウンロード購入といふうに変わっていくのでしょうか。だとしたら、本屋のおじさんが「これは便利」などとノー天気に喜んでいていいわけありません。
そんなことを考えていた矢先、あるIT関連企業を経営する若手実業家が、「ちょっと相談に乗ってほしい」とお店に来られました。お話を伺うと、これでした、「電子書籍」。彼が言うには、これからの出版物はペーパーレスとなり、出版流通も大きく変わる。だれでも気軽に作者になることができ、読者はそれを格安に買うことができる。その電子書籍を配信する業務を当社は進めている。そこで、絵本も電子書籍化する計画だがどう思うかという相談であります。
電子書籍の黒い影は、僕の足元まで迫ってきていたんですね。彼のプレゼンにもあるように、電子出版になると出版社も取次店も書店もいらなくなってしまいます。そして本づくりに携わっている編集者、校正者、ブックデザイナー、印刷屋、そして取次店のトラックまで、みーんないらなくなってしまうのです。こんなことがほんとうに起こるのでしょうか。CDショップが経営危機に陥っているように、近い将来本屋も不要となってしまうのでしょうか。
絵本が電子書籍になると、画面を指でペラッとやると紙の本をめくるのと同じようにページをめくることができる。そして字が読めなくても、音声で聴くことができる。また、しかけ絵本も3D画面で見せることができる。すばらしいでしょと彼は言います。
今やこの電子書籍化をビジネスチャンスと捉えている人たちは、みんなこんなふうに考えているんでしょうね。でも僕が思うのは、本はやっぱり紙でしょということ。今でもケータイ小説とかあるけれど、携帯電話の画面で本を読むなんてことよくできると思ってしまうのは頭が古いのでしょうか。
そして、絵本も画面でということになると、普通の本以上に抵抗感があります。まず、本は「本」という形をとったモノであるということ。これが絵本となると、普通の本以上にアートとしての価値が大きくなります。そして絵本は親子がふれあう時間をもたらしてくれるものです。子どもたちはそこで親の生の声を聴いて育つのです。このふれあう時間をおろそかにすると言葉も育ちません。テレビやパソコンに生の人間同士のふれあいを求めることは不可能です。ITの進歩は決して悪いことではないと思いますが、ひとつ使い方を間違えるととんでもないことになる危険性を持っているのです。
この実業家の方、最後に「絵本(の電子書籍化)はちょっとやばいことになるかもしれませんね」とおっしゃって帰って行かれましたが、ロボットに子育てをさせるような時代が来ないことを祈りたいと思います。
おおきな木 杉山三四郎











コメント
コメントありがとうございます。
ついにiPadが発売されました。アップルストアは行列だとか。そんなに急いで買って…、いいことあるんですかね。
かくいうワタクシ、最近、iPhoneを買いました。機種代タダというキャンペーンにまんまと乗ってしまいました。どこにいてもいろんな情報が得られるというメリットはありますが、やっぱりこれで本を読もうという気にはなれませんね。たとえiPadのサイズでも。寝っ転がって読むには文庫本か新書サイズが一番だと思います。
初めてコメントさせていただきます。
絵本に限らず、書籍全般を私は紙で読みたいと思ってしまいます。
古いのでしょうか?
大学生の子どもたちも紙で読むほうが断然いいに決まっている!と
mac片手に申しております(笑)
ページをめくる指をふと止めて考え込む、想像する・・そんな時間が大好きです。
いかがお過ごしですか? コメントいただき、ありがとうございます。たしかに絵本だけでなく、画集、写真集などの電子書籍化も進んでいるようです。僕もパソコンは便利に使っていますが、画面で見るモノは、本来のモノを五感で感じることとは違いますからね。たとえそれが3Dになったとしてもっです。さて、これからどうなっていくのでしょう?
河出陽子さんを通じてお世話になっています。お伺い出来なくてすいません。
小野木学さんのかたあしダチョウのエルフ懐かしく読みました。
iPadの件ですが、私も凄く興味を持ってテレビを見ていました。私は、絵本はやはり今まで通りの絵本であって欲しいです。絵本が、電子化されれば、絵も画集もそうなるということですよね~。
先ほど、テレビで牛乳瓶のふたが紙からプラスチックになっている話しを取り上げていました。子供たちは、初めて見る紙の蓋に目を輝かせていました。
紙は確かに大切な資源です。だからといって、何でも電子化は子供たちから笑顔を奪っていくように思います。
絵本が無くなることなど考えたくないですね~。
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