目標も時間割もないキャンプ<おおきな木野外塾>
お読みいただいた方もあるかと思うのですが、昨年12月7日、中日新聞朝刊の「壮春グラフィティ」という欄で、第二の人生をがんばっている(楽しんでいる)おじさんみたいな感じで紹介されてしまいました。今までも時々取材されることはあったのですが、今回はずいぶん反響がありました。
それはさておきまして、その記事の中で、「自然の中で、子どもたちをもっと自由に育てたい」と会社を辞めたといったことが書かれていましたが、そのことにちょっと触れてみたいと思います。
僕が勤めていた会社は、全国的な英語教育組織でしたが、日常の英語教育の他に、四季折々のキャンプや国際交流といった活動も活発にやっていました。そこ でのキャンプ体験は個人的にも学ぶことがじつに多く、とてもいい経験になりました。しかし一方、大きな組織の中で運営する活動ですから、自分が思い描く理 想はなかなか通りませんでした。
民間団体や学校の宿泊校外学習などで行われるキャンプではたいてい目標や課題が決められて、それに沿ったプログラムが時間割で決まっています。たぶんそ れが常識だと思うのですが、僕は、「キャンプに目標や課題なんていらないんじゃないか」とか「時間割はいい加減な方がいいんじゃないか」とか言ってました から、ま、異端児だったんでしょうね。
でも、考えてみてください。そうした課題というのは大人の側からの要求であって、子どもにとってはどうでもいいことが多いんです。どうしたら子ども本位 のキャンプができるだろうかと考えると、子ども目線へと根本から発想を変えなきゃだめだと思ったんです。 また、キャンプは自然の中で行われますから、現地に行ってみないとわからないことだらけ。でもプログラムが決められていて「時間厳守」が徹底されている と、オリエンテーリングの最中に虫採りに行ってしまったりといった寄り道は許されません。また、悪天候続きで薪が湿っていたりすると料理に時間がかかって 後のプログラムに影響が出たりもします。課題やプログラムがきちんとしていればいるほど、それに振り回されて終わりということになりかねないのです。
おおきな木野外塾では、目標も時間割もありません。集合・解散時刻とフィールドだけが決まっていますが、そこでどう過ごすかは基本自由。といっても、子 どもたちが喜びそうなしかけはあれやこれやと用意していきます。でも、そんなしかけはおかまいなしに勝手に遊んでいる子もたくさんいますが、それだけ自然 には魅力があるということなのです。泊まりがけでキャンプをする場合もほとんど同様ですが、「食う・寝る」という生活の基本は大切にしていますから、その ためにみんなで動かなくてはならないこともあるわけで、いつのころからか野外塾では、「働かざる者食うべからず」という掟が生まれたりもしています。
人はみんな一人ひとり違って当たり前ですから、全体を一斉に動かすという発想を止めてみると指導する側も気が楽になってきます。子どもにとって大切なの は「時間・空間・仲間」の三つの「間」。自由に使える自分の時間、好奇心を満たしてくれる空間、そして、楽しさを分かち合う仲間。この三つです。野外塾の 「仲間」は子どもから大人までがごちゃごちゃといて、大きな家族のようになっていますが、子どもって群れで育っていくんだなということをつくづく感じてい ます。
おおきな木 杉山三四郎











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