「野力(のぢから)」で育ってきた二人の高校生

 

 おおきな木で行っている野外塾に、N君とI君というちょっと変わった二人の高校生がいます。彼らは小学校・中学校と同級生で、N君は小4、I君は小1のときに入塾し、以来毎月のプログラムにほとんど参加しているので、野外塾では子どもにも親にもよく知られた存在です。高校受験を控えた昨年度も秋まではほとんど欠かさず参加し、高校が決まるのを待って、野外塾の子どもたちのお兄さん・お姉さん的存在である「Yフレンド」として登録をしました。

 気が合うんだか合わないんだかよく分からない二人ですが、共通するのは、二人とも生き物好きだということで、いわゆる飼育マニアでもあります。N君はカメやクワガタなどを飼育し、「(飼っている)カメが死んだら俺も一緒に死ぬかも」などと言うぐらいの「カメ命」人間。I君はいつ頃からかアリにはまっているようで、巣作りをしているアリの写真を僕に見せていろいろと解説をしてくれたり、何とかという珍しいアリの女王蟻をネットでゲットした自慢話をしてくれたり…。

 先日、野外塾では高山市荘川で春のキャンプをしたんですが、そこでは山菜採りハイキングの途中で大量のイモリ(アカハライモリ)をI君が発見。いっしょに参加していたやはり生き物好きの中学三年生S君も加わって三人で捕獲し、小さな子たちにも分け与えて、体にはフグと同じ種類の毒があるからイモリをさわったらちゃんと手を洗わなくてはいけないという指導もしていました。こういうことは実に詳しいわけです。

 N君は海釣りにもよく行くようで、野外塾の無人島キャンプでは、釣った魚の鑑定や処理もすればタコもさばきます。今回のキャンプでは、子どもたちが川でつかみどりをしたニジマスや、僕が釣ってきたイワナの処理も彼が中心になり、串にさして炭焼きにしました。家ではウナギを罠で捕まえて、蒲焼きも作るようです。彼の生き物に対する嗅覚というのはなかなかのもので、毎年恒例の川遊びプログラムではウナギの他、スッポン、モクズガニなど、他のみんなとはちょっと違ったものをゲットして注目を浴びています。

 はっきり言って彼らは今どきの高校生とはまるで違って、同級の仲間からはちょっと浮いてるんじゃないかと思うんですが、彼らを見ていると僕自身の中高生の頃を思い出すことがあります。僕も小学生の頃は生き物好きでしたが、中学生まで続いたのは蝶々の採集。シーズンには友だちとバスに乗って遠くまで採集に行き、せっせと標本作りに励んだりしていました。でも、中学二年ごろからだんだん興味が薄れ、ギターを始めてから音楽の方に傾いてしまったんですね。たぶん色気が出てきて、虫を採っているよりギターを弾いている方が女の子にモテるかもなんて思ったのではないかと疑われます。それに比べると彼らはスゴイ。高校生になっても色気とは無縁でひたすら生き物。野外塾の親たちから将来が楽しみという声も聞かれますが、このまま育っていったら結構おもしろそうです。

 おおきな木では「野生の力で子どもは育つのだ」という思いで「野力」という言葉を作り、Tシャツにしています。二人ともひょろっと背が高く、見た目は全く逞しさはありませんが、まさに「野力」で育ってるなあとつくづく思います。さあいよいよ夏、野外塾絶好の季節です。川遊び、磯遊び、昆虫採集、無人島サバイバルキャンプなどがありますが、ここでも彼らの持ち味を存分に発揮してくれることと思います。

おおきな木 杉山三四郎

コメント

ありがとうございます。そうですか、やっぱり浮きまくってましたか。
野外塾には、歴代、変人が何人もおります。そんな「変人」が自分らしさを発揮できるような場であったらいいなあと思っています。彼も今のまま成長していってくれたら嬉しいです。
補足ですが、先日のキャンプではN君、小さな女の子たちにずいぶんモテてましたよ

おおきな木つうしん、嬉しく読ませていただきました。
お察しのとおり、中学校の頃から学校ではかなりの変人として浮きまくっていたようで(高校入学後もそうみたいですが)、本人はあまり気にしていないとはいえ、親としては少々心配もあります。
が、肉親以外でこのように暖かく見守ってくださる方がおられるというのは本当に有り難いことで、これでいいのかも、と思うことができました。
これからも暖かく、厳しくご指導いただければ幸いです。

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