子どもの生きる力を育む「野力(のぢから)」

 

 桜の花も咲き始め、いよいよ本格的な春がやってきました。そんな中、当店が主催する「野外塾」では先日(3月20日)、春の野草を料理して食べるという恒例プログラムを行いました。岐阜市内とはいえ、のどかな田園風景が広がる伊自良川(長良川の支流)の河川敷をベースにして、土手やあぜ道などに生えている草をとってみんなで料理をします。えっ、食べられる草なんか生えてるのっておっしゃる方もあるでしょうが、あるんです。お目当ての草は、カンゾウ(ヤブカンゾウ)、ツクシ、ヨモギ、ノビル、カラスノエンドウ、タンポポなどですが、みなさんお分かりですか?

 これは野草とは言えないかも知れませんが、あぜ道にラッキョウが生えているのを発見。勝手にとるのもどうかと思い、畑仕事をされていた地元のおばあさんに「とっていいですか?」と声をかけました。すると、「食べ切れんで、わしが捨てたやつやで、持ってけ持ってけ」と、鍬で掘り起こしてくれました。そして、おばあさん、「あんたら何をとっとんさる?」と。「カラスノエンドウですよ」って答えると、「そんなもん美味しいんかね。どうやって食べんさるん?」とびっくり。たしかにカラスノエンドウなんかは生えすぎて困るような雑草ですが、天ぷらにしたり、ピザのトッピングにしたりして食べると、とくにこれといって特徴のある味じゃないんですが、美味しいんです。おばあちゃん、「わしゃ、94歳になるけど、未だかつて食べたことないわ」と言われてしまいました。こちらは、鍬で畑を耕す元気な94歳に一同びっくりでした。

 毎回、カンゾウやノビル掘りには、大人も子どももはまるんですが、地面に這いつくばって土を掘り起こしたりしてると、やっぱり地元の人たちに、「何を掘っとんさる?」と声をかけられたりするんですね。「これですよ」と掘ったノビルを見せると、「そんなもんうちの畑の雑草や。たくさんとってってくれ」などと言われたこともありましたね。

 ま、そんなもんでしょうが、それをあえて食べてみるのが山菜料理の醍醐味でもある、なんていうとちょっと大げさですが、楽しみなわけですよ。タンポポなんかも葉っぱはキャベツとベーコンと混ぜてサラダにすると美味しいですよ。花は天ぷらやピザのトッピングにしたりします。ヤブカンゾウやノビルは甘みそで食べるのが一番。ぜひお試しあれ。

 ところでみなさん、「野力」という言葉をご存じでしょうか? ご存じないでしょうね。野外塾で勝手に作った造語ですから。でも、この言葉のニュアンス、伝わりますよね。野生の力→野の力→野力(のぢから)。英語だと、ワイルドパワーです。この日の野外塾は、一日中、そこらに生えている野草をとって約10品目の料理を作って食べるというプログラムでしたが、野外塾では年中何かしら野生のものを頂いて食べています。人間はみな自然の恵みを頂いて生きているわけですからね。「野力」で生きてるんです。

 食べることに限らず、デコボコ道やどろんこ道を歩いたり、木に登ったり、いろんな生き物に出くわしたりといった普段できない自然体験によって子どもたちは体力と生きる力を育ててるんです。この日出会った94歳のおばあちゃんもきっと子どものころからずっと「野力」で生きて来られたのではないでしょうか。

 最後に宣伝です。おおきな木オリジナルの野力Tシャツ(¥2000)も好評発売中。こちらもよろしく。

おおきな木 杉山三四郎 

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