おやすみのあお

おやすみのあお

おやすみのあお

 

植田 真 作

 

「寝るときに読む絵本でおすすめはありますか?」

そんなご相談が時々あります。

「おやすみ」をテーマにした絵本はたくさんあります。静かな絵本で、気持ちが落ち着いて、ねむーくなる…。でも、おやすみをテーマにしていなくても、たとえば一緒に絵本の中の鳥やリンゴの数を数えながらだんだん眠くなるという子もいれば、いつも同じ絵本で寝る子など様々。もしくはどんなに静かな絵本を読んでも目がキラキラしてきてしまう、なんていう場合も。私も子どものころから今に至るまで、寝入るまで時間のかかるタイプです。お話の途中で眠ってしまって、それでも最後まで読んで「寝ちゃった」と独り言を言う…という母のささやかな夢はかなわなかったわけで。何冊も何冊も読んでもらおうとする私に「今日はここまで」と言う日々。今となっては、寝られなきゃ寝ないというスタンス(?)をとっていますが、「おやすみのあお」のような絵本を見ながらいつのまにか寝られたら素敵だな、と思います。実際は、本が終わったら「よいしょ」と起き出して、電気を消して、メガネをはずして、また寝返りをゴロゴロ。

今晩は、暗闇で目を閉じて、私の「おやすみのあお」をひとつひとつ思い浮かべてみようかな。そうしたら、いつのまにかカーテンを通して金色の朝日が差し込み、まだ知らないなにかに出会う新しい一日を晴れ晴れとした気持ちで迎えることができるような気がします。

(スタッフ みか)    


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トクさんのやさい畑

トクさんのやさい畑

トクさんのやさい畑

 

大石 真 作
みうらひでかづ 絵

 

この本は、現段階では手に入りません。いつか復刊されるかもしれないというのは希望的観測。まだ図書館で読むことができるのが救いです。

 とこやさんのトクさんとトクさんのところに集まってくる子どもたちのお話。子どもたちはトクさんの畑を手伝い、採れたての野菜をトクさんによる「本格的な」やり方で食べます。それはそれはおいしくて、子どもたちが「なぜこんなにおいしいのだろう」と考えるほど。そしてトクさんと過ごすもう一つの楽しみは、野菜をほおばりながら聞くトクさんの面白い話。そのお話も、私たちは垣間見ることができます。

1979年に出版された本で、ちょっとした言い回しなどは昭和の匂いが漂います。けれど、よく知っている野菜がどんなにおいしそうに感じられるかは今もそんなに変わらないはず。私が子どもの頃は、祖父の小さな畑で採れた野菜を食べることもよくありました。トマトやきゅうり、なす、春にはイチゴ。幼稚園の頃の絵日記には畑でのできごとがよく登場しました。長くぶら下がるジュウロクササゲとその上に行列を作るアリの絵を描いた覚えがあります。

 この本の中でもとりわけ印象強く残っているのはジャガイモにバターをつけて食べるという部分で、本を読んで以来、土曜日のお昼ご飯にでっかいジャガイモを蒸かしてもらうのがとても嬉しかったものです。ところが、読み返してみれば、本の中でそれに該当する部分はほんの一行にも満たないくらい。今でもじゃがいもを丸ごと食べるときは「トクさんのやさい畑」を思い出すのに。

(スタッフ みか)   


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ともだちは、サティー!

ともだちは、サティー!

ともだちは、サティー!

 

大塚篤子 作

 

今年の青少年読書感想文全国コンクール課題図書より。

お父さんのネパール行きへ半ば強引に同行することとなったツトム。想像の域をはるかに超えた生活が彼を待っています。ことばも通じない。出会ったパニとはカルチャーショックの壁。ガンコなツトムは折れる気もなし。そんなツトムをパニは受け入れる気もなし。心を通わせる以前の話です。そんな、スタート地点よりずっと後ろから始まったツトムの、先が思いやられるネパール生活。大人たちと離れ、環境や人間、動物たちに少しずつ歩みより始めます。本当にすこしずつ、すこしずつ。だって、飢え死にしたくないし迷子になりたくない。見捨てられたら困ってしまう。…とこれはツトム側。パニからしてみれば、いなくなられては困るし、病気になられても困る。自分にはやるべきことがあって、それをまっとうしなければならないのだから。お互いの気持ちは通じていないけれど、読む側は両方の気持ちが見えるので、イライラするやらおかしいやら。

夏休み。宿題や工作、自由研究。そして読書感想文。感想文といえば課題図書。課題図書はその肩書きゆえにどうしても読まされる感が強いのですが、自分では選ばないような本との出会いになる場合もあります。私にとっては高校の読書感想文課題図書で出会った本…というか、作家さんがまさにそれ。個人的には感想文がとても書きにくく、字数を確保するのにかなり苦労しました。正直ちょっと懲りたくらい。ところが数年後にはその作家さんの作品が私の本棚を浸食していくことになります。わからないものです。

(スタッフ みか)  


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ぼくがとぶ

ぼくがとぶ

ぼくがとぶ

 

佐々木マキ 作

 

この絵本は、最初福音館の月刊誌として40年近くも前に発行されました。その後、ハードカバーの絵本として出版され、昨年(2013年2月)絵本館より復刊されました。私は随分遅く、復刊された段階で「ぼくがとぶ」を知りました。

「ぼく」がなにかを作っています。部品やパーツや道具が作業場に散らばっています。組み立ては外で。骨組から、胴体、翼には布を張って。ねじを締めて塗装もします。何がワクワクするって、「ぼく」がひとりで、おとうさんやおかあさんにもないしょで、ほんものの、本当に飛ぶひこーきを作っているってところです。顔を汚して汗をかきレンチを握って飛行機の下に潜り込む。そもそも工具って、子どものころのあこがれ。ペンチもレンチもナットも…なんだか私が知らない道具や部品も、たくさん描かれています。見ていると本当にひこーきを作ることができてしまいそうな気がしてきます。

できあがったひこーきは、すんなり飛んではくれません。落ちて壊れてやりなおし。

全然関係ないですが、作り上げたデータがパソコンの不具合もしくは自分の不注意で全部パー。そんなときは「今のは練習だ」と思って、深く考えず悔やまず落ち込まず、すぐさまもう一度作り始めることにしています。完成までこぎつけたひこーきが墜落して壊れた時、ふとそれが頭をよぎりました。

落ちて壊れたひこーきも「ぼく」はすぐに修復、修正。「つぎはしっぱいしないぞ」ともくもくと作り始めます。もくもくと、とは書いていませんが、たぶんもくもくと。

やがて離陸に成功したひこーきは麦畑の上を飛び、両親に見送られ風を感じながらいろいろなところへ飛んでいきます。緑色の麦畑や川面、砂漠に落ちる影。夜空に溶け込む姿。そして…とんでもないところまで飛んで行ってしまいます。美しい異国の地や空の風景にうっとりしていると、最後に不意打ちをくらいます。私もきっと最後に出てくる彼らと同じ表情をしていただろうなあ。

(スタッフ みか) 


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ふたつのねがい

ふたつのねがい

ふたつのねがい

 

ハメルン・ファン・ストラーテン 作
野坂悦子 訳

 

 

ふたつのねがい

 

スノードームの中の雪だるま。天使は彼の願いをひとつだけかなえてくれると言います。ひとつだけ。

おもちゃの踊り子。彼女は天使に願います。たったひとつのことを。

短い絵本の中、小さなおもちゃたちの小さな物語はしずかに進んでゆきます。疎外感、羨望、悲しみ、そして出会い、笑い、傷つき…。

今この瞬間も、誰も知らないところで、誰も知らないうちに、小さな奇跡が起きているのかもしれません。

絵本を閉じると、ラブストーリーの映画を見たあとのようにほっと息をつき、

ストーリーの空気に思いを馳せてしまいます。そして、明るくなる館内さながら、意識のすき間に容赦なくねじれ込んでくる雑音に少し悔しい思いをするのです。

雪みたいに真っ白で、ふわふわな愛の物語。 

(スタッフ みか) 


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たべものかるた あっちゃんあがつく

たべものかるた あっちゃんあがつく

たべものかるた
あっちゃんあがつく

 

みね よう 原案
さいとうしのぶ 作

 

 

『あっちゃんあがつく』という絵本があります。そのカルタ版。カルタは50音だと思っていたのに、これは濁音・半濁音まで入って全部で69枚。

甥っ子と遊ぼうと思って買ったのですが、その前に改めて中を見てみました。そして、母と二人、さらっと見るつもりがじっくり一枚ずつ時間をかけて眺めることに。絵札の絵はもちろん、読み札の絵も見逃してはいけません。たべものたちがいろいろな懐かしい遊びをしています。

さいとうしのぶさんの絵は懐かしくて新しい、生活感があって飽きの来ない、蛍光灯じゃなくて白熱灯、みたいな…私はそんな風に感じています。

絵札に至ってはすみずみまで見過ぎて、その日は半分まででタイムアップ。チョコレートの絵札ひとつにしても、見たことのあるような、食べたことがあるチョコに似ているような、そんなチョコレートが幾種類も描かれているのですから、さらっと流すわけにはいきません。

遊びごたえも、見ごたえも十分のカルタ。長く遊べそうです。 

(スタッフ みか)


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クレヨンマジック

クレヨンマジック

クレヨンマジック

 

舟崎 克彦 作
出久根 育 絵

 

 

私が小学校の頃に出会った本と同じタイトルの本が入荷しました。あれれ?と思って中を見てみると、知ってる知ってる。大好きだった本。時々インターネットで検索をかけて探していた本。胸がドキドキしました。検索していた時のキーワードは、『オモテサンドウィッチをひとつ』。今回、出久根 育さんの絵で鈴木出版より新刊として出版されました。お話の中に出てくるおまじないを何度も試し、雨の中何度も紙飛行機を拾いに行きました。万に一つくらいは何かが起こるかもしれない、そんな気持ちが頭の隅っこにあって。そのかすかな気持ちとおまじないのことばだけが、それからずっと、今に至るまで同じように頭の隅っこにありました。大人になって、おまじないの成功に対する期待は確実に少なくなっているはずなのに、なんとなくゼロにはならない、ゼロにはしたくない。本に再会し、期待値がほんの少しピコッと伸びたのは本当です。

 

スタッフ みか

   


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グーテンベルクのふしぎな機械

グーテンベルクのふしぎな機械

グーテンベルクのふしぎな機械

 

ジェームス・ランフォード 作
千葉茂樹 訳

 

 

読書の秋。図書館や本屋さんで本を選びます。インターネットや端末で検索した本を、棚に並ぶたくさんの本の背の中から探します。図書館で見つけた本がやけに古びていたり、重厚感あふれるものだったり。そんなときは、なんだか掘り出し物を探し当てたような気持ちになります。

ページをめくること、紙とインクの匂い、厚み、本棚に並ぶ背文字、全巻一揃えの満足感…。そんなものが気に入っているだなんてことを言っているから、家の中が大変なことになっていくのですね。子どものころ表紙に書いた名前、何度も繰り返し読んだ結果ついた折れ目、日焼け…。本は時を経るごとに愛おしい材料が増えていきます。

本ができるまでには様々な歴史や工程があります。それらをひとつひとつ丁寧に紹介した絵本「グーテンベルクのふしぎな機械」。グーテンベルクは人名。学生時代の講義や最初の職場…なにかと関わりのあった名前にひっかかり、この絵本と出会うことができました。グーテンベルクの代名詞とも言える活版印刷技術のみならず、紙やインク、製本にいたるまで、「本」がかつてどのように作られていたのかということを伝えてくれる絵本。見応えのある美しく鮮やかな絵。細かく描かれた道具や機械、作業風景を眺めていると、当時の作業場のざわめきやインクの匂い、機械音などが感じられる気がしました。

 

スタッフ みか

  


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ふたりだけのとっておきのいちにち

ふたりだけのとっておきのいちにち

ふたりだけのとっておきのいちにち
 

ヘレン・ダンモア 作
レベッカ・コップ 絵
三辺律子 訳

 

 

年に一度、リンの住む島に遊びに来るロビーとその家族。

子どものころ、夏休みやお正月にいとこたちと集まる日がまちどおしくてまちどおしくてたまらなかった時の気持ちを思い出しました。顔を合わせた瞬間から時間を忘れて遊ぶ日々は今も鮮明によみがえってきます。

 

リンとロビー、二人しか知らない、二人だけのひみつ。

ひみつって本当にワクワクするもの。ひみつの場所、ひみつの島…。

そしてお母さんが作ってくれたサンドイッチやパイは、ひみつの島で食べるとまた格別。

 

やがて、ロビーの帰る日が近づきます。離れたくない二人は真夜中に抜けだし、船に隠れ、時間のすき間へ迷い込みます。たどり着いたのは二人でつくったひみつの島。太陽や、海や、金色のリンゴと共にまぶしくキラキラと輝く時間は二人の宝物。

 

ずっとずっとこのままでいたいと思った二人でしたが、金色のリンゴにも飽きてパンやチーズを食べました。家族や家の夢をみました。

 

絵本ですが、お話は長めで読み応えのある1冊。爽やかな夏の日々、限られた時間を夢中で過ごす二人につい顔がほころびます。

 

スタッフ みか

 


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オセアノ号、海へ!

オセアノ号、海へ!

  

オセアノ号、海へ!

アヌック・ボワロベールとルイ・リゴー 作
松田素子 訳

 

 

お気に入りのアノニマスタジオから、「ナマケモノのいる森で」につづき、美しいしかけ絵本がやってきました。

 水中メガネをつけて水面あたりをぼんやり眺めるのが、昔からなぜだか好きです。水たまりの中にうつる空が、本物の空より神秘的に見えたり。ふたつの世界。見える世界。見えない世界。その境目が、いつもいつも、わたしの気にかかる場所でもあります。

 「オセアノ号、海へ!」は、水平線を目の高さに持ってくることで、海の上の世界と下の世界を、いっしょに楽しむことができます。船や海中の生物のかたちや色彩も美しく、さわやかでおだやかな気分にさせてくれます。そして、「海面」が前に飛び出してくる、という作り、もしかしたら世界初なのではないかな。その、「海面」が実はふたつの世界を隔てるものではなく、ゆるやかにつながっているふたつの世界の橋のようにも見えたり。

一度お手にとってご覧ください!

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スタッフ なおこ

 


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