細いワイヤーの上、ほくは自由だった
2012.01.28
綱渡りの男
モーディカイ・ガースティン 作
川本三郎 訳
世界貿易センタービルのあいだに綱をわたし、綱渡りをする…。
歩道橋も渡れないほど高所が苦手なわたしには想像するだにおそろしいのですが、マンハッタンで1974年にあった本当の話です。
男の名はフィリップ・プティ。大道芸人。
どうしてそんなことをしたくなったのだろう?
綱渡りしているときは、どんな気分なの?
好奇心にかられて、映画の「マン・オン・ワイアー」も観ましたが……やっぱりわかりません。
子どもが「あれやってみたい!」と思って、本当にやってみる。ただそれと同じで。
とはいえ、地上400メートルの綱を渡る実際の映像は、鳥肌が立つほど美しく、神秘的でした。
ふたつのビルには逮捕しにきた鈴なりの警官たち。でも綱の上までは誰も追いかけてはきません。
そうして一時間も彼は細い綱のうえで踊ったり、寝転がったりするのです。
自分が冒険できなくなっているとき、なにかしたいんだけれども怖いと感じているときにこの絵本を手にとります。
彼の居場所はたまたま地上400メートルの綱の上だったけれど、それぞれの人が、それぞれのやり方で、そんな場所をもつことができる。わたしにとって、小さな勇気をあたえてくれる絵本です。
スタッフ えんや










