夏帽子

夏帽子

夏帽子

 

長野まゆみ 作

 

タイトルの夏帽子は、理科の臨時教師である紺野先生のトレードマーク。授業でしてくれる興味深い話や、見せてくれる標本、休みの日には生徒たちを引率して海や山へ。夏休みが明ける前には学校の草とり。冬には雪かき。廊下の窓磨き。何気ない、普通のことがどうしてか楽しみに変わってしまう。

こんな先生出会ってみたかったな、そういえば出会ったな、と思い出すのは、中学生のころ。とてもおもしろい授業をしてくださった社会の先生。教科書には載っていない小ネタがちょくちょく挟まれたりして、社会の授業なのに笑いが絶えなかった覚えがあります。ノートにも小ネタの方を熱心にメモったり。体調が悪くても、なんとかこの先生の社会の授業だけは受けようとがんばったものです。

もとは雑誌MOEに連載されていたもので、夏帽子をかぶった紺野先生が赴任する先々で出会う生徒とのふれあいや授業風景を描いた短いお話が詰まっています。

長野まゆみさんの本は独特の世界観のあるものも多く、好みが分かれそうなところ。個人的には大好きですが、個性的故にここでの紹介については二の足を踏んでいました。『夏帽子』は穏やかで、特に同じような経験がなくとも、なぜか懐かしい気持ちが漂い、思い浮かぶ情景が美しい短編集。「齋藤孝のイッキによめる!名作選 小学3年生」に1編が掲載されていたため、紹介してみることにしました。

「齋藤孝のイッキによめる!名作選」シリーズは、いろいろな作家さんの作品にすこしずつ触れることができる本。学年別になっていて本選びの参考にもなりますが、学年にこだわらず、たくさんの作品に触れてみて、そこから読書の幅を広げていくのも楽しいと思います。

 

 (スタッフ みか)